HUNET News Letter


兵庫教育大学 情報処理センター
Information Processing Center
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Nov.,1998


今月のコラム

今月のコラムは,「WWW上での検索について」と題して,自然系数学分野山田教官に執筆頂きました。

○「WWW上での検索について」
 WWWは一種のデータベースと捉えられますが,そこに溢れる情報から有用な情報だけをどのように探せばよいのでしょうか?今月のコラムは,WWW上での検索のお話です。

 WWW上の情報の検索に関しては,それを専門に行うサイト(サーチエンジン/Search Engineと呼ばれたりします)があります。ただし,それらは,その情報のまとめ方や検索スタイルにより,いくつかの種類に分けられます。ここでは,1)ロボット系,2)ディレクトリ系,3)メタサーチという3つの種類を紹介します。

1) ロボット系
 検索ロボット(とは言ってもソフトウエアですが)にWWWのページを自動巡回させて収集した検索データを提供するサイトです。全文検索が基本で,サイトによっては国内外を問わず検索が可能です。全文検索ですので,目的の情報に効率よくアクセスするためには,いくつかの検索キーワードの組合せがすぐに頭に浮かぶことが必要になります。例えば,「“関西国際空港”への“リムジンバス”の“時刻表”のデータが欲しい」といった状況です。いくつかの有名なサイトを紹介しておきましょう。

goo (NTT) http://www.goo.ne.jp/
 比較的後発のサイトですが,強力です。バリューサーチでは,新聞・雑誌・書籍情報の検索まで出来ます。
LYCOS (Lycos) http://www.lycos.co.jp/
 画像や音声の検索まで出来ます。細かい検索が出来る「ライコス・プロ」(http://www.lycos.co.jp/lycospro.html)もあります。
AltaVista (COMPAQ) http://altavista.dec-j.co.jp/
 検索対象の言語が選べるのが特徴です。
RCAAU (京大工学部) http://www.kuamp.kyoto-u.ac.jp/labs/infocom/mondou/
 jpドメインのページが主な検索対象ですが,「リンク逆引き機能」があります。

2) ディレクトリ系
 主としてユーザの推薦やWWWページの作者によって登録されたサイトを,細かいカテゴリに分類して情報提供する検索サイトです。通常は,登録してある各ページの説明文(あるいはディレクトリ名)が検索対象になりますし,欲しい情報が該当しそうなディレクトリまで降りていってページを直接探せますので,目的から外れていない比較的良質なサイトを見つけることが可能だと思われます。ここでもいくつかの有名なサイトを紹介しておきましょう。

Yahoo! JAPAN (Yahoo) http://www.yahoo.co.jp/
 ディレクトリ系の定番サイトです。本家はこちら(http://www.yahoo.com/)。
NTT Directory (NTT) http://navi.ntt.co.jp/
 TITANというロボット検索も利用可能です。
JOY http://joyjoy.com/JOY.html
 日本の「個人の」Webページを集めたディレクトリ系の定番サイト。
こねっと・サーチ (こねっとプラン) http://www.wnn.or.jp/wnn-s/searchinfo.html
 学校・子供向けのサーチエンジン。Near keywords が便利です。
Future Network (財団法人神奈川県経営者福祉振興財団) http://www.fnet.ne.jp/
 例えば,「子供にとって有害情報として認められたもの」や「犯罪や反社会的行為に結びつく内容のもの」については情報を除外されているようです。

3) メタサーチ
 メタサーチとは,指定された複数のサーチエンジンを使って検索を行い,各サーチエンジンが返してきた結果を統合して表示くれるような検索サイトです。海外での定番サイトは MetaCrawler (http://www.metacrawler.com/)なのですが,ここでは日本のサーチエンジンを使っているサイトを紹介します。日本の多くのサイトが単に複数のサーチエンジンの検索結果を返すだけなのに対して,下記のサイトではその結果を統合してくれているのがミソです。

MetaSearch JP (東北大学電子通信研究所白鳥研究室) http://www.shiratori.riec.tohoku.ac.jp/~kihara/metasearch.html

 さて実は,ロボット系を一つ知っていればここで紹介したサーチエンジンはすぐ見つかるでしょうし,サーチエンジンのLink集も見つけられるはずだ,というのが今回のコラムのオチでした。上記のような定番サイトだけでなく,他の検索サイトも利用して,あなたも検索上手になりましょう *


連載「電脳的役割関於研究」

 連載「電脳的役割関於研究」の第3回目です。今回は,自然系数学分野山田教官に執筆頂きました。

 一般的に調査・研究においてどのようにコンピュータ(・ソフトウエア)が使われているかは,前回の連載第2回目に詳しく書かれていたと思います。今回は,他の分野のみなさんには馴染みがないかもしれませんが,数学分野の教官・学生には非常にポピュラーな組版システムである,TeX(「てふ」とか「てっく」と発音されるようです)とその簡単な応用例を紹介いたします。

 TeXとは,スタンフォード大学のD.E.Knuth教授(http://Sunburn.Stanford.EDU/~knuth/)が開発した組版システムです。組版とは,文書を指定したレイアウトにそって整形することですが,TeXは通常のワードプロセッサやDTPソフトなどのWYSIWYG型のものとは異なり,生のテキスト文書に書式/レイアウト情報をタグとして埋め込んだソースを作り,それをコンパイルして出力用のファイルを生成するという手順を踏むのが特徴です。さらにTeXの特徴的な点を挙げるならば,
1) 数式記述力に富み,
2) 出力がきれいで,
3) 強力なマクロ機能を備えており,
4) 基本的にフリー,
ということになります。数学はもちろん,理工系の文書では,数式が登場することがしばしばですが,通常のワードプロセッサに附属する数式エディタでは記述できる数式が限られているばかりか,結果も美しくありません。その点,数式入りの文章に対する記述力でTeXの右に出るものはありませんし,結果も出版にも耐え得るだけのクォリティで出力してくれます。さらに,いくつかの学会では,独自のマクロパッケージやスタイルファイルなどが用意されており,それらにより論文の体裁が半自動的に整えられるようになっている所もあります。実際,そのようなマクロパッケージを使った学会誌投稿を推奨している所もあり,例えば,アメリカ数学会(American Mathematical Society)では,AMS-TeXというパッケージを用意しており,そのパッケージ/フォーマットを使ったTeX文書で投稿すれば,出版までの期間が大幅に短縮されるという利点があります。日本では,認知科学会が学会誌「認知科学」への投稿用のスタイルファイルを用意しています(何とLaTeX(後述)で書けば電子メールでの投稿も可能です)。さらに,科学研究費申請書用のマクロまであり,私も重宝して使っています。このようなわけで,最近では,数学はもちろんのこと,数学に限らず,論文を書くときには(というより「清書するときには」というのが実状には近いのですが),TeXで書くことも多くなってきました。実際の出力結果の例は,数学分野の最近の修士論文を見ていただくのが一番です。約半数はTeXを使って修士論文を仕上げているのですが,数式を多用している論文は,ほぼ例外なくTeXを使っています。また,Web上では,数学教室の過去の入試問題のページ(例えば,http://www.sci.hyogo-u.ac.jp/%7Emaths/exam96.html)の複雑な数式の部分は画像ファイルを使用しているのですが,これらのGIFファイルはTeXの出力結果を利用したものです。この画像ファイルの作り方は後で述べましょう。

 Knuth先生が開発したオリジナルのTeX(plain TeXと呼ばれます)は,基本的な機能しか持っていませんでした。しかし,先にも述べたように,TeXは高度なマクロ機能を備えており,それによって機能を拡張することが可能であったため,現在では様々なTeXのマクロパッケージを利用してTeXを使うことが普通となっています。最も有名なものはLaTeXというマクロパッケージです。また,日本では日本語の通るTeXが必要なわけですが,株式会社アスキーがTeXを日本語化し,かつ,それを縦組にも対応させたpTeXがあります。そして,現在では,その最新版であるpLaTeX2eというマクロパッケージが日本ではポピュラーになっています。我々が単に「てふ/てっく」と言うときには,この日本語化されたLaTeX/LaTeX2eパッケージのことを指しているのが普通です。これらのコンピュータへのインストールに関しては,最近では,TeX環境作成のためのソフトウエア群が一式収められたCD-ROM付きの解説書が多く市販されていますので,非常に便利になってきました(ちなみに,『日本語LaTeX2eインストールキット』,アスキー出版局,中野賢他,ISBN:4-7561-1942-5. には,少々古いバージョンですが,UNIX/Windows/Macintoshの各環境用のpLaTeX2eが一式揃っています)。実際のTeXでの文書作成ですが,TeXでは,その細かな書式・レイアウト情報は生の文書の中に命令を表わす「タグ」を埋め込む形で記述されます。Webページを作ったことがある人なら想像がつきやすいと思いますが,HTML文書を作るのと同じ要領だと思ってくだされば結構です。例えば,文字の大きさを変えたいと思えば,変えたいと思う箇所の前にフォントの大きさを変える命令を表わすタグを埋め込むわけです。もちろん,この場合,その命令の及ぶ範囲を{}で括ることによって指定/制限することもできます。TeXの文法に則って書かれたテキストの文書は,そのままでは生のHTML文書同様,非常に読みにくいものです。それを,TeXでコンパイルしますと,DVIファイルと呼ばれるファイルが生成されます。このとき,前者の生のテキスト文書は,「TeXファイル」あるいは単に「ソース」と呼ばれることが多く,ファイル名には“.tex”という拡張子を付けるのが決まりです。また,それをTeXにかけて生成されたDVIファイルには,自動的に“.dvi”という拡張子が付きます。そして最後に,このDVIファイルを,プレビューアを使って見たり,印刷したりするわけです。

 さて,先ほど述べましたように,Webページに複雑な数式を表示させようと思うときには,GIFやJPEGといった画像ファイルを使うのが常套手段です。実は,最近のワードプロセッサには,書類をHTML形式で保存してくれる機能が付いているものもあり(Microsoft WordやMacのNisus Writerなど),しかも,それらには数式エディタが付いていることがほとんどですから,その機能を使えば非常に手軽に数式入りのHTML文書を作成できます。この場合,数式部分だけを画像ファイルにしてくれますので,比較的数式が少ない場合は重宝するかもしれません。しかし,数式が多くなるとやたらと画像ファイルが増えるという難点もありますし,やはり数式エディタを使いますからクオリティの問題は付いてまわります。Macintoshでの話ではありますが,私がTeXを使って数式入りの文書の画像ファイルを作る場合,
1) まずdvipskというツールを使ってDVIファイルからPostscriptコードに変換し,それを,
2) MacGSを使ってPICT形式で保存し,さらに,
3) WebGIFを使ってGIFファイルに変換する,
という手順で画像ファイルを作っています。ちなみに,dvipskはDVIファイルをPostscriptファイルに変換するMacintoshのツールで,他の環境では,dvipsやdvi2psなどがあります。また,MacGSとはMacintosh用のghostscriptです。これらは,Mac pTeXのページ(http://macptex.appi.keio.ac.jp/~uchiyama/macptex.html)から直接,あるいはLinkを辿って手に入れることができます。また,WebGIFはフリーの画像変換ツールです。この手順を踏む場合,元々のDVIファイルをプレビューアで見たときの画面全てが画像ファイルとして保存されますので,数式が多く画面全部を画像ファイルとして表示したい場合には最適ですし,数式部分だけが欲しい場合でも,その画像を適当にトリミングしてやればいいわけです。

 TeXは,多少敷居が高く,細かいところにこだわり出すと結構しんどい思いをするというのも事実ですが,数式が多く,ある程度のクオリティを求められる文書を書く場合大変重宝します。身近にTeX使い(TeXnicianと呼ばれたりします)がいればその人に聞くのもいいのですが,たとえいなくとも,巷にTeX/LaTeXの参考書はあふれていますので,果敢にチャレンジされてはいかがでしょう。

[参考リンク]
株式会社アスキーのpTeX Home Page(http://www.ascii.co.jp/pb/ptex/) *


次期情報処理センターコンピュータシステムについて

 今月は,情報教育実習室1,2の更新に相当する,情報教育実習システムについて紹介します。このシステムは,情報教育のための授業や講習会および自学自習に利用するための,マルチメディアに対応したパーソナルコンピュータ群,各種ソフトウェアおよび周辺機器類から構成されます。次期システムでは,現在と同様2つの情報教育実習室を設置することに加えて,学内4カ所に小規模なサブシステムを分散配置する予定です。学生用コンピュータとしては,以下の2種類が導入される予定です。○学生用コンピュータ(Macintosh機) ○学生用コンピュータ(Windows機)

電子メールの運用変更について

 電子メールにおけるスパムといえば,受信者の迷惑も考えず多数の人に対して勝手に送信される電子メールのことで,通常の郵便におけるダイレクトメールのようなものです。ダイレクトメールの送付に比べ,電子メールの送信はコストが低いため,情報の提供者は,より多くの人々に,より多種多様な情報を送ることができます。結果としてスパムの受信者となる多数の個人は,非常に大量の雑多な情報を受け取り,その中から本当に必要な情報だけを抽出するという処理が必要となり,本来の活動が阻害されるという被害を受けることになります。またネットワーク自体もスパムにより通信やサーバの負荷が上がる等の影響を受けることになります。このため,スパムメールはインターネットで大きな問題となっています。

 スパムメールは多くの人にとって迷惑であるため,プロバイダによってはこのような使い方が禁止されていることがあります。このため,無関係なサーバを利用してスパムメールが不正に送信されるということが行われる場合があります。オープンリレイといわれる組織外電子メールの中継を禁止していないサーバは,この不正利用の格好の標的となります。このようなサーバがネットワークに接続されていることは,スパムメールの温床となり,好ましくありません。このため情報処理センターでは,スパムメールの不正中継に利用されるサーバを本学内から出さないようにするため,ネットワークの設定を変更しました。

 今回の設定変更に伴い,学内ネットワークの利用方法が一部変わりました.該当する利用者は,各々以下の通り対応して下さい。

○学外プロバイダから本学メールサーバを利用している場合
 学内と同一の設定では,電子メールの送信ができなくなりました。接続先のプロバイダから提供されている情報に従って,電子メールを送信して下さい。

○学内に独自のメールサーバを設置している場合
 学外のメールサーバから電子メールを直接受信することができなくなりました。メールサーバを設置するためには,情報の追加登録が必要ですので,各ドメインの担当者,または情報処理センターへ連絡して下さい。 *


講習会の開催について

 11月は,講習会の開催は予定しておりません。
 なお,次期情報処理センターコンピュータシステムへの移行に伴い,必要に応じ講習会を開催する予定ですのでNewsLetter及び学内の情報処理センターの掲示,HUTEのホームページ等を注意してご覧下さい。 *

情報処理センターへの質問,要望の電子メールによる受付

 情報ネットワークを利用するにあたって生じたご質問やご要望は,電子メールでお寄せください。
・宛先:q@info.hyogo-u.ac.jp

記入事項:


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